ADVERSE SYMPTOMS
歯ぎしりの悪影響
実は想像もしなかったような悪影響がもたらされます。『たかが歯ぎしり』と侮ることなかれ・・・です。(泣)
歯が磨り減って短くなり、しみる
考えてみたら1ミリの深さのむし歯が出来たらイヤな感じになりますでしょう。ところが歯ぎしりによって噛み合う面(咬合面)が2~3ミリ磨り減ってしまい歯が短くなっても気が付かない事が多かったりするのです。
それが原因となりむし歯では無くとも神経に近づいて『しみる』症状が出て来ます。
噛むと痛い、違和感がある
歯の根っこの周囲には歯根膜という薄い膜状のクッションが存在し、それがナニかを噛んだ時に硬い・軟らかいなど感じるセンサーになっています。
通常の咬合力であれば問題にはなりませんが、手や足と一緒で歯ぎしりによりこの膜に過剰な力がかかると挫滅・損傷してしまい、噛んだ時に痛みが出てしまいます。
歯を支える骨が痩せていく
強い歯ぎしりによって歯は動揺を来たし、歯を支えている骨が溶ける歯周病が悪化します。
骨がコブのように盛り上がってくる
歯ぎしりやTCHが酷い方は、骨隆起と呼ばれるコブのようにものが歯ぐきに見られるようになります。
下記の様な場所に見られたり、あちこちの歯ぐきがモコモコしてくることも珍しくはありません。病気では無いので放置するしか無いのですが、部分入れ歯などになると当たって痛むので・・・厄介なんです。
エラが張ってくる
噛むために活躍する筋肉は、顎の角の部分・・・いわゆるエラに付着してる筋肉(咬筋)です。
歯ぎしりがある方は夜間の意識の無い時にこの筋肉を激しく筋トレさせてるのと一緒になりますので発達して、エラが張り出したようなお顔付きになります。
下の前歯が隠れて見えなくなる
歯は思ってらっしゃるより軽い力でも動いてしまうモノです。継続的に力を加え続ければ・・・あまりに重い家具を置けば床が凹むかのように噛み合わせも変化し、下の歯が見えなくなったり、歯自体が顎にめり込むような状況が生じます。
頭痛や肩こりに悩まされている
口腔周囲の諸筋群の中には、首や肩の筋肉と繋がってるモノが多く存在します。歯ぎしりによって噛むための筋肉が過緊張状態に陥れば肩こり・首こりが出たりも致します。
また、側頭部の筋肉も噛み締める咬合時には大活躍してしまうので、歯ぎしりによる頭痛も引き起こされます。頭痛の大多数は頭内部のトラブルではなくこれが原因ではないかという説があるほどです。
詰め物が取れたり割れたりする
考えてみたら口の中の修復物は接着剤でくっつけてあるだけです。通常の咬合力であれば問題にはならずとも接着剤の接着力を上回る過剰に強大な力が加われば脱離もしましょう。
セラミック系やプラスチック樹脂の詰め物はモチロンのことながら、金属だって割る方がいらっしゃいます。
それが予想される際にはナイトガードと呼ばれるマウスピースをオススメしてはいるのですが、自覚症状の無い歯ぎしり故にお使いいただけずにモノ凄く硬いジルコニアでさえ割れてしまった経験があります。
健全な歯まで割れる
恐ろしいことに、歯ぎしりで御自身の歯を噛み砕いてしまう方が多くなりました。そうです、真っ二つに割れてしまうのです。(泣)
むし歯などで神経を除去した歯は枯れ木の脆くなり割れやすいのは解るのですが、ネット上でも時折話題になってますがコロナ禍以降の昨今では漠たる不安が重くのしかかるストレスが蔓延してるせいなんでしょうか、まったく問題のない健全歯まで割れてしまうことがあります。30年以上も歯科医をやってますが、驚きを隠せません。
睡眠時無呼吸症との関連
因果関係が明確に示されてはいないのですが、歯ぎしりのある方に就寝時の無呼吸状態になることが高頻度で観察されております。睡眠時無呼吸症を起こしてしまう可能性が高いようであります。
睡眠時無呼吸症は不安やストレスなどの障害を引き起こす可能性がありますし、その不安から誘発され歯ぎしりに繋がる可能性が否定出来ないのです。
睡眠時無呼吸によって引き起こされる低酸素状態を回避するために、歯ぎしりをすることによって心身を奮い立たせ(覚醒?)る我々の身体にそもそも備わった機能なのかもしれません。
歯ぐきとの境目が削れる
歯ぎしりにより歯が激しく揺さぶられると、歯の表面を覆うエナメル質とその下にある比較的軟らかい象牙質の境目に応力ってヤツが集中し、歯が砕けてしまったかのように削れて来ます。
ちょうどその部分には、歯の中心部のいわゆる神経(歯髄)と通じる象牙細管があって、むし歯ではないのですが砕け削れることで神経と近くなりしみることを主症状とする知覚過敏を起こします。場合によっては歯の神経が死んでしまうこともあるので厄介です。
顎の関節が痛み口が開かなくなる
肩こり・首こり・頭痛だけでなく、顎関節と頭蓋骨の間でクッションの役目をしている関節円盤という軟骨が強く圧迫されて痛んだりズレてしまうトラブルが生じます。顎関節症の大きな要因だったりもしますが、この関節円盤は本来ならスムーズに顎を前後左右に動かす役割を果たすのに、歯ぎしりによって関節円盤が極度に圧迫されるとお口の開閉口時に音が鳴るようになったり、場合によっては変形を来たし顎をスムーズに動かすことが出来なくなってしまいます。