院長のコラム

歯周病は顎の骨が溶ける病気!

知っておきたい大切なこと

そもそも歯は顎(あご)の骨の中に植わっている事実をご存知なければピンとこないと思いますが、歯周病という病態はほとんど痛みがなくその歯を支えてくれてる顎の骨が長い時間をかけて溶けてしまう病気・・・そうお考えいただくとお解りいただけると思いますが、大変に困った事態が生じます。(泣)
植木にとっての根っこがそうであるように、歯の根っこを取り巻いてくれてる顎の骨がひとたび無くなれば肝心の歯は立っていられなくなります。やがてにはグラグラし始めて、健常な方には考えにくいかとは思いますが、酷い人だと自然脱落にまで至ってしまう恐ろしい病気なのです。

歯周病の進行

次の動画のように歯周病が進行することによって顎の骨とその表面を覆う歯ぐきが徐々に少なくなり、必然的に歯をしっかり支えることができなくなります。そうなると支えを失った歯は・・・残念ながら抜けてしまいます。

水面下の状況を見てみましょう

表面的には歯ぐきの発赤・出血・腫脹が症状のように見えますが、それはあくまでも上辺のことであって実際は水面下でイラストのように顎の骨の消失が起こっているのです。

歯周病が進行することにより顎骨は次第に痩せてしまいますので、必然的にしっかり歯を支えることができなくなることがお解りいただけましょう。支える骨が少なくなるに伴い、その骨を覆う歯ぐきも徐々に下がり始め、表面的にも歯が長くなったように見え始め、その頃から歯は明らかに不安定になって来ます。ちょうどその辺りから歯周病は加速が付いたように進行し始め、ちょっとした食物を噛んだだけでも咬合痛等に苛まれ始めるのです。

原因に敏感になりましょう!

下記の原因にご注意ください。我々歯科医も好んで歯を抜きたいわけではないのですし、好発年齢である御老人の方々も好き好んで歯を抜いて入れ歯にしたがるわけでは無いのですが、そうは言っても耐えがたい咬合痛を回避するために抜かずにはいられないケースにほぼ連日遭遇しているのが歯科医療現場の実情です。

歯周病の原因

  • みがき残しのプラーク
  • 歯ぎしり、くいしばり、かみしめ
  • 不適合な冠や義歯
  • 不規則な食習慣
  • 喫煙(副流煙を含む)
  • ストレス
  • 全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
  • 薬の長期服用

歯周病は回復しないので、予防が大切!

予め防ぐとはよく言ったもので、いったん溶けてしまった顎の骨はまず元には戻せません。
歯周組織再生治療がよく取り沙汰されるようにはなりましたが、歯ぐきを剥がして顎の骨を露出させるという不快な外科手術をどうしても伴います。
歯ぐきを剥がしての再生手術・・・そんな風に考えたら悪化する前に予防しちゃった方がはるかに楽かと思います。テレビのコマーシャルでも「歯周病予防! 歯周病予防!」と耳にしない日が無いぐらいに連呼されるのは基本的には顎の骨は元通りに回復しないからなのです。

セルフケアとプロケアが欠かせない

御自身の手による予防(ブラッシングと上記の原因除去)は欠かせないと思います。歯周病も病気である以上は御自身の認識無くして回復であり進行防止は有り得ませんでしょう。
更にその上で、その道のプロフェッショナルである歯科衛生士さんの手による定期的なプロケアを当院では推奨しております。

「備えあれば憂い無し」と申します。どんな人にもいつかは訪れる老境に差し掛かった際にも御自身の歯でナンでも美味しく召し上がれる日を迎えられるようでありたいものですね。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長/院長

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