見過ごされやすい歯周病
私たち歯科医療従事者が日々拝見する患者さんのお口の中で、頻繁に遭遇するトラブルとして『歯周病』が挙げられますでしょう。
この歯周病・・・歯ぐきから出血したり疲れるとナンとなく腫れっぽくなるといった症状は皆さん御存知なのですが、それほどの痛みを伴わないために見過ごされてしまうことが実は珍しくありません。
放置すると抜歯に至る歯周病
実際には、上記の諸症状を放置してしまうと歯を支える歯槽骨という骨が溶けてしまい、支えを失った歯が揺れ動くようになって噛めなくなってしまうという厄介なトラブルだったり致します。骨の消失は基本的に復活が無く、やがては抜けてしまうという結末を迎える困ったトラブルでもあります。
万病の元にもなる歯周病
同時に、重度の歯周病にでもなった際にはいわゆる歯周病菌は血管内に侵入、全身を駆け巡ることになり糖尿病・動脈硬化・認知症等のリスク因子となることが知られるようにもなりました。歯周病は万病の元・・・と言っても過言では無いのかもしれません。
歯周病に関するいくつかの特徴を挙げて参りましょう。
歯周病の7つの特徴
➊ 丁寧に時間をかけてブラッシングをなさる方や、メインテナンスの為に定期的に歯科を受診なさってる方は歯周病に罹患しにくい。
➋ 加熱式タバコを含む喫煙をなさる方は、歯ぐきの血流が悪化し免疫力が低下することから歯周病になりやすい。
➌ 口呼吸をなさる方は、口腔内が乾燥しやすいので殺菌作用を有する唾液の活躍が出来なくなりトラブルを引き起こしやすい。
➍ 糖尿病等の生活習慣病がある方、もしくは御高齢の方は免疫力の低下を来し罹患しやすい。
➎ 歯並びが思うようで無い方はブラッシングが徹底出来ず、かつ過度に特定の歯に負荷が掛かることがマイナスに作用する。
➏ 無意識に噛み締め続ける歯列接触癖(TCH)を有する方はトラブルになりやすい。
➐ 持病があり免疫製剤などを服用なさってる方は悪化しやすい。
原因は多岐に渡る
日々の臨床で皆さんに接しておりますと、『定期的に歯のお掃除をしてたのにどうして歯周病が悪化するの?』と疑問をお持ちの方も少なくありません。これは『歯の汚れ』に対するコントロールは出来ていたのかもしれませんが、それ以外の要素が悪化を助長したケースと言えるのかもしれません。
欠かせない定期的なメインテナンス
歯や歯周組織を損なわれてしまえば迎える結末は『抜歯』です。(泣)
しかも1本だけ・・・に限らずに複数の歯を無くすことになりかねませんので、その後には『入れ歯』での咬合回復がチラつくことにもなりかねません。
➊~➐に心当たりがお有りな方は御注意願えますと宜しいようです。