口内炎
口腔粘膜や舌に炎症が生じるトラブルです。口腔内や口唇・舌の粘膜に炎症が生じ水疱・びらん・潰瘍等の粘膜病変を生じるものを指します。
原因はさまざまで、むし歯による歯の鋭縁や不適合な入れ歯による粘膜への刺激であったり、細菌・ウイルス・真菌などの感染も考えられますし、自己免疫疾患や全身性皮膚疾患によるものも挙げられます。
口腔衛生が保たれていないことや、栄養不足・ストレスも原因になり得ますので厄介です。
日常的によく見られる症状であり、接触時に痛みを伴うのが特徴です。数日で治る軽度なものがほとんどですが、中には重篤な全身性疾患に起因するものも考えられます。長引く口内炎には重篤な病気が隠れている可能性もありますのでご相談下さい。
口内炎は、口の粘膜に起こる痛みを伴う炎症の総称を差します。口内炎には様々な原因や種類があったりしますので、その特徴をつかみ回避したりケアした...
血腫(血豆)
血種とは、見た目は境界明瞭で赤色から暗赤色の半球状の膨隆であり、口の中にできてしまった血豆のことです。通常は半球状に口腔内に膨隆しているので舌で触れた時に違和感を自覚して受診されるようです。一般的には頬の内側に出来る事が多いですが、舌や頬を噛んでしまったり就寝中に噛んでしまって出来てしまいます。
言わば咬傷なのですが、原因としては歯ぎしりやTCHがお有りで、歯の頬粘膜への圧痕や舌側縁部の圧痕が見られる方に頻繁に目撃致します。またそれが瘢痕化して再度噛んでしまう(噛みやすい)ことが懸念もされます。
噛んで潰れると中から血液成分の混ざった内容物が出てきて消滅します。手足にできる血豆と同じ状態で、咬傷が原因でできた口腔内の血豆は再び同部位を噛む事で血豆がやぶれ自然と消失してしまいます。
血豆と間違えやすいものに良性の血管腫というトラブルがあります。血腫(血豆)と異なり血管腫のサイズはまちまちです。
血管腫は血管組織の増殖と拡張によって腫脹する病態なので、腫瘍ではなく血管組織の奇形と考えられています。血管腫は口唇にも生じたり、表面だけでなく深部にも出来て口腔粘膜組織や舌などの腫脹として確認されることもあります。 粘膜の比較的浅い部位にできると暗赤色の腫瘍として見られるため血豆と似ている部分もありますが、形態は円形とは限らず蛇行する様な形態としても出現致します。
舌炎
舌炎とは舌に生じる炎症の総称のことで、原因はさまざまです。 口内炎も含まれ、アフタ性口内炎・カンジダ性口内炎・ヘルペス性口内炎などがあり、すべて舌炎と定義されます。
むし歯原因での歯冠崩壊や入れ歯の鋭縁部で傷を作ったり、舌の火傷や被せ物による物理的刺激も口腔内の衛生状態不良も原因になり得ます。
また、全身疾患として挙げられるのはシェーグレン症候群・プランマービンソン症候群(鉄欠乏性貧血)・悪性貧血(ハンター舌炎、メーラー舌炎)なども原因として挙げられ、2種類以上の修復金属により唾液を介して微弱電流が発生するガルバニー電流が原因となることもあり得ます。 金属アレルギーや食物アレルギー、ウィルスや真菌感染(ヘルペスウィルス口内炎、口腔カンジダ症)などが原因となる事もあります。
症状としては、舌の表面が平坦化し赤くなるため外部刺激に対して敏感になったり、ヒリヒリとした灼熱感や接触痛を伴うことまであります。塩味のある食物に対してしみてしまうこともあります。治療には、含嗽剤(うがい薬)があります。
舌苔
舌の表面に付着している白い舌苔(ぜったい)は、食べかすや汚れだったり細菌によるものです。
舌の表面は、しっかり噛んで咀嚼していればきれいな状態を保てるはずで、うっすらと白いのは普通のこと。それが苔が生えたように分厚く白くなってしまうと、口臭の原因になったり味覚を感じにくくなったりします。舌や軟口蓋などに存在し味覚の受容を担う味蕾をカバーしちゃうんですから無理もないですよねぇ。
舌苔が分厚くなる原因、その生活習慣
- 歯磨きが思うようでなく、お口の中が不衛生
- タバコを吸っている
- 食事の際にあまり噛まずに軟らかい物ばかり食べている
- 口呼吸をしている
しっかりとブラッシングをし、その上に舌ブラシを使って、1日1回でも舌磨きをすることもオススメです。軟らかいモノばかりでなくしっかり噛んで食べることで舌をたくさん動かし舌苔を付きにくくしましょう。また、喫煙は本数を減らしたり禁煙したりすることで舌苔の原因を軽減できます。
舌癌
舌癌とは、舌前方2/3と舌の縁や舌下面に発生する悪性腫瘍のことで、口の中に発生する癌の約50~60%を占め最も発生頻度が高いです。
男性に多い傾向があり、50歳~70歳代に発症することが多いですが、20歳~30歳でも発症することがあります。
舌癌の原因は明らかではないですが、飲酒や喫煙などの化学物質による刺激や、歯並び不正で歯が常に舌に当たったり、合わない入れ歯やむし歯の鋭縁が当たる機械的刺激が誘発すると考えられています。舌癌のほとんどは扁平上皮癌ですが、ごくまれに肉腫も発生します。
舌癌の症状
- しこりがある(触れると硬い)
- 舌の粘膜に白や赤の色の変化が確認出来る
- 舌粘膜のただれや口内炎のような症状ができてから2週間以上続く
- 舌を動かしにくい
- しびれや麻痺が認められる
- 味覚障害がある
- 少しの刺激で痛む
芸能人の方の舌癌報道等もありましたが、舌に出来る口内炎と舌癌との違いとしては、口内炎は触れただけでも痛みが出ますが、舌癌はよほど大きくならないと通常は痛みが出ません。
最大の違いは、口内炎だったらおよそ二週間で消失する点であります。長引く際にはご相談下さい。
日本では残念ながら毎年約7000人が口腔癌(咽頭含む)で亡くなられています。そこで当院では口腔がん検診を始めました。私自身は口腔外科出身では...
舌痛症
原因不明の舌の慢性痛が舌痛症です。舌そのものには炎症・潰瘍などの明らかな病変が認められず機能や色調も正常なのに、御本人だけが舌に慢性的なひりひり感やぴりぴり感などの痛みを訴えるのが特徴とされます。
未だに詳細は解明されては居ないのですが、脳が『心の痛み(ストレス)』をキャッチした際に間違って『カラダが痛い!』というシグナルを出すためだと考えられています。中高年の女性に多く見受けられ、食事中や何か他のことに気を取られているような際にはこれといった痛みを感じないことが多いことも特徴とされ、歯科心身症の代表的な疾患に挙げられており、治療法としては抗うつ薬を中心とした薬物療法が用いられます。
ポイントは『痛い!』と盛んに仰るけれど舌には何らの異常も認められない点です。痛みを抑える脳内ホルモンの働きがストレスによって低下したり、神経の過敏化も痛みを強化する一因だとされています。
舌炎による舌痛、ドライマウスにより生じる舌痛、歯ぎしり由来の咬耗による歯および補綴物鋭縁、舌癖による舌痛などと見極めることがポイントとなります。
粘液囊胞(のうほう)
食事中に口の粘膜を咬んだり歯ブラシ等の異物で傷付けることにより唾液が出てくる管が塞がれてしまい唾液が貯まったり、本来なら外に排出される唾液が粘膜の下に貯留して袋状になったモノを指します。下唇や舌下面に多くみられます。
中でも舌下腺から分泌された唾液が口底部に貯留して生じる粘液嚢胞をガマ腫と言ったりもしますが、口腔領域における軟組織嚢胞の大部分が口唇に出来るこれだったり致します。
この囊胞は破けると一時的に小さくなり、小さなお子さんの場合にはそのまま治ってしまうこともよくあります。レーザーで除去出来る大きさのモノは当院でも施術可能ですが、唾液腺の根が深く何度も再発する場合には口腔外科での根本的な手術をオススメしています。
口腔内の唾液腺は無数にあるので、その一部を取り除いてもドライマウスを引き起こすようなことにはなりませんので御安心下さい。