今の時点で健康な歯を大切にするだけでなく将来的にもトラブルを生じさせないケアが予防歯科です。歯磨きをしていても、歯ブラシが歯に当たらないと落としたい汚れは残ってしまいます。ブラッシング指導では歯科衛生士さんがその方に合った歯の磨き方をお教えしますし、歯間ブラシやデンタル・フロスの使い方もお伝えしています。予防歯科を心掛ける事で常に口腔内の環境が整うのと同時に早期発見・治療にもつながります。

予防歯科における基本方針

歯の健康は全身の健康に
密接に繋がっています

痛くないのに歯医者に行くの?と不思議に思われるかもしれません。実は口の中はむし歯や歯周病の原因となる口内の細菌の数は0にはなりません。そのため定期的なケアでお口の中の環境を整えることが何よりも重要なのです。

8名の歯科衛生士による
プロフェッショナル・ケア

お口の健康を長く維持させていただくために当院では予防歯科用のチェアもご用意。そこで歯石やプラークを除去するスケーリング、歯ブラシでは完全には落とせない、細菌の住みかであるバイオフィルムを除去するPMTC等の施術を受けることが可能です。痛みを伴わないように心掛けますので御相談下さい。

地域の皆様の生涯健康な歯を守る

当院は、厳しい施設基準をクリアして『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』の認定を受け、歯周病安定期治療にも積極的に取り込んで なるべく歯を失わないための予防重視の歯科医療に取り組んでいます。合わせてエナメル質初期う蝕管理に欠かせないフッ化物歯面塗布処置も積極的にも積極的に取り組んでおります。

PROPHYLAXIS BENEFITS

予防で得られるメリット

せっかくなさる歯磨きですから効果が無いと悲しくなりますよね。ポイントを押さえてみましたのでリンク先、もしくは動画を御覧になってみて下さい。

ブラッシングのポイント
正しい歯ブラシの使い方
歯間ブラシとデンタル・フロス
フッ素塗布でむし歯予防
シーラントでむし歯予防

予防歯科治療について

当院は、『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』の認定を受けておりますので、毎月でもメインテナンス・サービスが可能であります。お一人おひとりの口腔内の病態に応じて期間を定め、定期的な予防管理が可能であります。

口腔内のケアは、衛生士さんの手による『プロフェッショナル・ケア』だけでなく、御自身でも出来る日々の『セルフ・ケア』がとても大切になります。当院ではメインテナンス時にその方その方に合った歯磨剤や歯ブラシなどの情報提供にも務めております。

予防歯科の基本はやはりブラッシングでありましょう。この時代、ブラッシングをなさらない方は皆無のようには思いますが、実は『磨いている』のと『磨けている』の隔たりはあるように思います。最適なブラッシングをしていただけるようなアドバイスも欠かさずにして参ります。

歯科衛生士がお口の健康をサポート

80歳で20本の歯を保つ

80歳になった時、歯が何本あれば食生活が楽しめるかご存知ですか? 厚生労働省は最低でも20本必要としていますが、日本人の平均的な残歯数は80歳で20本弱と言ったところでしょうか。
歯を失う原因のトップは歯周病ですが、歯磨きをきちんとし、生活習慣(喫煙・ストレス等)を見直すことで予防可能です。どうしても磨き残しが多いと歯周病は避けられないので、ご自身の歯磨きだけでは不十分と言わざるをえません。
自宅や車の中を時折大掃除するように、患者さんが手の回らない部分を補うのが当院の予防歯科(第三者による口腔内管理)です。

お口の健康を維持・管理

歯科衛生士さん達は、むし歯・歯周病、そして清掃状態をチェックし、衛生環境を整える処置や指導をすることでお口の健康を維持管理します。地域の皆さまと生涯にわたってお付き合いする気持ちで向き合い、責任と誇りを持ってお口の健康をサポートします。生涯現役の歯を目指して一緒に頑張りましょう。
長きに渡るお付き合いが必要になる予防。一番大切なのは、トラブルを感じてない時点から患者さん御自身が御自分の口腔内に興味・関心を持って下さることかと思います。まずは口腔内の現実を知っていただけると宜しいように思います。

快適な環境に変える歯石除去

予防歯科の基本は、お口の中の汚れを徹底的に取り除いて衛生環境を良くすることです。当院では、歯科衛生士さん達が歯の徹底的なクリーニングをして、まずはむし歯・歯周病になりにくい環境を整えます。
一生懸命歯を磨いていても汚れを完全に落とすのは難しいことです。その磨き残した物が固まって歯石になってしまえば自分で落とせなくなります。歯石は決して綺麗なものではなく細菌の住みか・・・歯周病の最大の原因となります。そこでご自身の手による歯石になる前のプラーク(歯垢)を除去してお口全体の衛生環境を整えるのです。

歯のクリーニング「PMTC」

PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaning(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)の略で、プロが行う「本格的な歯のクリーニング」のことです。歯科衛生士がお口の中の汚れを隅々まで取り除きます。
専用器具を使って歯と歯ぐきの間に付着した汚れを丁寧に取り除いて、必要に応じて歯の表面を研磨剤でキレイに磨きます。歯の表面がつるつるになって汚れが付きづらくなるため、むし歯や歯周病になりにくくなるのです。タバコのヤニやコーヒーなどの着色汚れ(ステイン)も落ちるので、本来の光沢ある美しい歯を取り戻せます。清潔な状態を維持するためにも、数ヶ月に一度のPMTCをお勧めします。

PMTCの効果

PMTCで、汚れと一緒に細菌がなくなり むし歯・歯周病の予防に繋がります。同時に臭いの原因である細菌を除去してお口の中がスッキリとして口臭予防にも繋がり、着色汚れが落ちるので光沢のあるツルツルの歯になります。

メインテナンスの継続で
生涯現役のお口を作る

お口の中の環境は、日々変化しています。特に40代以降は唾液の量が減少傾向になり、噛み合わせが悪くなると同時に歯周病リスクが高まります。こうしたトラブルは定期検診で予防可能です。
当院は、数ヶ月に一度の定期検診をお勧めしています。定期検診で歯のクリーニングやピンポイントのブラッシング指導などを通してお口の健康を維持・管理します。生涯現役の歯でいるためにも定期検診を意識なさってみて下さい。

CORRECT BRUSHING

正しく磨けてますか?

当院もお世話になってるSUNSTARさんの『正しい歯ブラシの使い方』を参考になさってみて下さいね。

医院においても磨き残しの多い部分や歯ブラシの当たりにくい部分をお伝えして患者さんのお口に合わせて指導させていただきます。指摘通りに歯磨きを励行することで、お口の中がキレイになり効果的なむし歯・歯周病予防が可能になると考えます。

軽い力で小刻みに動かす

ブラッシングの基本事項

歯間ブラシやデンタル・フロスも!

ブラッシングの重要性に異論を挟むような方はいらっしゃらないかと思うのですが、実際には『頑張っても6割程度しか磨けてはいない』って言ったら大袈裟でしたでしょうか。
例え一時間の時間を掛けてブラッシングを丁寧にやったとしても歯同士が隣り合ってる隣接面まで綺麗にする事は不可能でありましょう。そこで活躍するのが歯間ブラシでありデンタル・フロスかと思います。
どうせブラッシングをするのなら6割(60点)と言わず90点・95点を目指したいモノであります。下記の動画は非常に参考になりますのでぜひ御覧下さいませ。
こちらもSUNSTARさんのイラスト動画です。実に良く出来てると思います。

FLUORINE COATING

フッ素塗布でむし歯予防

お口の中の汚れを歯磨きだけで100%落とすことは非常に難しいとされています。そこで、むし歯予防の一貫として当院は定期的なフッ素塗布をお勧めしています。 フッ素には歯垢(プラーク)の細菌活動を抑えること、溶けたエナメル質の修復、歯質を強化するなど、むし歯の発生を効率的に防ぐ効果があります。

当院は、フッ素の薬剤を扱うメーカーの担当者が院内講習会を開催。スタッフ全員がより良い効果発揮の為にフッ素の扱いを充分学んだ上での塗布を心掛けています。 また、当院は『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』の認定を受けておりますので、毎月のようにエナメル質初期う蝕管理というフッ素塗布が保険適用されます。むし歯予防にお役立て下さい。

フッ素塗布の効果

➊ 歯質の強化(耐酸性の向上)

フッ素が歯に取り込まれることで、歯の表面を構成するエナメル質を強化し、むし歯菌が作り出す酸に解けにくい強い歯を作ります。

➋ 初期むし歯を修復(歯の再石灰化の促進)

酸が溶かしたむし歯部分をもとに戻す、唾液の再石灰化作用を促します。フッ素は、むし歯になりかかった歯から溶け出したカルシウムなどが、再び歯の表面に戻ろうとする作用(再石灰化)を助け、歯の修復を促進します。

➌ むし歯菌の活動を抑制

フッ素の抗菌作用によりむし歯菌の活動を抑え、歯を溶かす酸の産生を抑制します。

➍ 歯質の強化(耐酸性の向上)

変な話で恐縮ですが、便器や車に塗るワックスにもフッ素は含まれています。フッ素には汚れを付きにくくする効果があるようです。

フッ素塗布の方法

塗布の必要な回数はお口の状態によって異なりますが、1年に2~4回の塗布を継続すると20~40%程度のむし歯の予防効果があるとされています。 ただし、残念ながら歯磨剤状のペーストをただ塗れば良いわけではありません。当院は以下のことに注意し、なるべく効果的なフッ素塗布になるよう心掛けています。
実際に塗るフッ素

年齢によって(2~3歳児の場合)は危険性があってできない事がありますが、その場合は無理をせず成長を待つべきでしょう。大切なのは「塗った!」という大人の満足ではなく、お子さん達の歯へのメリットが生じるか否かで判断すべきと考えます。一般的塗布方法は、フッ素薬の取扱説明書に下記の様に推奨されています。

➊ 歯面の徹底的清掃

歯ブラシ等で口腔内を十分清掃してから、必要があれば塗布面の歯石を除去したり歯面から歯垢(プラーク)を取り除きます。

➋ 十分な乾燥

脱脂綿等を歯と舌、歯と頬や口唇の間に挟んで歯を孤立させます。唾液を拭ったりエアを吹きかけ乾燥させることが大事です。(下の写真・左)

➌ 薬液塗布

上記の事前準備ができたらいよいよフッ素塗布です。最大のポイントは時間です。なるべく長い時間薬液に触れさせる必要性があります。また、塗布後約30分間は洗口せずに唾液を吐かせる程度に止めるのが推奨されています。(下の写真・右)

実際にフッ素を塗る際の防湿方法

効果的なフッ素塗布のポイント!

例えるなら、転んで膝を怪我した時、まず傷口をキレイにして乾燥させ軟膏等のお薬を長い時間塗布するのと同様です。
フッ素塗布のポイント

フッ素入り歯磨剤のイエテボリ法

現在市販されている各種歯磨剤の90%近くにむし歯の予防効果が高いフッ素が含まれているそうです。そういった歯磨剤をより効果的に使用するには従来と異なる「歯磨き法」が求められるようです。スタッフの協力を得て動画にまとめました。

この方法はスウェーデンのイエテボリ大学で推奨されている歯磨き法なのでイエテボリ法と呼ばれ、ポイントはフッ化物濃度の高い歯磨剤を使用し、ブラッシング後の洗口を少なくすることでフッ化物を口腔内に長く留め、予防効果を1.5倍近く高めること、すなわちむし歯になりにくくなる点です。以下のポイントにご注意ください。

イエテボリ法のポイント!
    • 歯ブラシに2cmの歯磨剤をつける(年齢に応じて加減)
    • 歯磨剤を歯面全体に広げ5分間磨く
    • 途中で吐き出さず歯磨剤による泡立ちを保つ
    • 歯磨剤をそのまま吐き出さず大さじ1杯程度の水を口に含む
    • 30秒ほどブクブクうがいをする
    • 洗口した分を吐き出す
    • その後の洗口は1回で、ペットボトルのキャップ1杯程度
    • ブラッシング後、最低2時間は飲食をしない

SEALANT FILLING

シーラントでむし歯予防

シーラントを御存知ですか?

御存知のように奥歯の噛み合わせの部分にはシワシワのミゾがあります。考えてみれば歯の真っ平らな部分からは簡単には虫歯にはなりませんので、このミゾが虫歯の好発部位と言えるかもしれません。
どうしてもミゾの奥までは歯ブラシの先っぽも当たりにくく食べかすや菌が溜まりやすいゾーンなので虫歯になりやすいのです。

食べカスが残りやすい歯のミゾ

シーラントはその虫歯になりやすいミゾをあらかじめ樹脂状の詰め物で埋めてしまおうっていう考えでなされる予防法になります。
またシーラントにはフッ素が含まれているため、物理的に埋めちゃうだけではなく歯の表面を強化してくれる効果も併せ持ちます。

ミゾを樹脂状の詰め物で埋めるシーラント処置

シーラントに最適なタイミング

シーラントを行う歯としては、6番目の『6歳臼歯』や7番目の『12歳臼歯』が挙げられますでしょう。
生えて来て間もなくの歯の表面は幼弱で初期の虫歯になってしまうリスクが高いため、生え始めの頃にシーラントをするのが虫歯のリスク軽減には最適なタイミングかと思われます。
処置の流れは動画で御確認下さい。

シーラントのポイント

シーラントのポイント

シーラントのメリット

➊ 虫歯になる可能性の軽減

シーラント治療は虫歯になる可能性を減らすことができます。
歯のミゾの部分は、確実に汚れがたまりやすい場所で、中でも生えたばかりの歯は未成熟でミゾも深いのでケアをしないと虫歯になりやすいと言われます。加えて生えたばかりの歯は幼弱で軟らかい欠点もありますので進行も速いのです。

➋ 歯を削らずに済む

虫歯は悪化してしまえば削ることになります。シーラント処置は予防処置ですので歯を削ることがありません。
既に虫歯が疑われ、微妙な状況の時にはダイアグノデントペンで測定後に判断をする事になります。

シーラントのデメリット

ナンでもそうかと思いますが、プラスの面ばかりではなくマイナス面も無いワケではありません。次のようなことに御注意願えると宜しいように思います。

シーラントにはフッ素の効果もあって予防に最適
➊ 定期健診が欠かせない

シーラントによって覆われたミゾは、逆に見えにくくなってしまうので虫歯トラブルが生じていないか否かを定期的にチェックせねばなりません。

➋ シーラント樹脂の脱落の恐れがある

通常の詰め物の場合には、取れにくいように歯を削って形を整え樹脂状のモノを充填しますが、シーラントはミゾに接着剤を介在させただけで樹脂を流し固めるだけなので取れやすいマイナス面が否定出来ません。削って詰める詰め物よりは取れやすいとお考え下さい。
実際には最深部には残りますので、もし取れた場合でも次回の定期検診時の確認で心配はないと考えます。そのタイミングで再治療致します。

シーラントの効果

歯の表面が滑らかになるため、汚れが詰まりにくくなり歯磨きもしやすくなります。シーラントをしていない歯に比べると4年で60%も虫歯予防効果があるといった研究結果が出ています。
もっとも、シーラントで予防できるのは噛み合わせの面のミゾだけなので、歯磨きはやはり欠かせませんです。

シーラントの注意事項

シーラントをした歯の表面は、食べ物を強く噛んだり歯ぎしりをした際に、または粘着性の高いガムやお子さんが好むグミなどを食べた際にはずれてしまう可能性があります。それが最大の欠点かと思われます。

執筆・監修歯科医、経歴

医療法人SDC 酒井歯科医院 
院長 酒井直樹

1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立