MINIMAL INTERVENTION

なるべく削らないMI治療

むし歯治療の基本は、歯を削って薬を詰めて元の状態に修復することですが、再感染を防ぐために歯を大きく削らなければなりません。削る量が増えるほど本来の歯の部分は失われ、比例するように歯の寿命も短くなってしまうのです。(泣)

MI治療とは?

当院は本来の歯を大切に考え、なるべく削らないMI治療に取り組んでいます。
聞き慣れない『MI』とは、ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)の頭文字で、直訳すると「最小の侵襲」となりますでしょうか。
むし歯治療の新しい概念で、つまり『出来るだけ歯を削らないで治療する』という意味だとお考え下さい。

MI治療に取り組む酒井歯科医院

MI治療の手順

まずは後述するダイアグノデントペンでむし歯の深さをチェック、ごくごく小さなむし歯はレーザーを照射して悪くなった部分だけピンポイントで削り取ることも可能です。
神経に近いむし歯でも薬剤で削る量を最小限に抑えた治療も心掛けます。本来の歯を大切にすることは、自分の歯で食事を食べられることであり、健康な身体を作ることにつながります。当院のなるべく削らない治療で、大切な歯を残して健やかな毎日を過ごしましょう。

むし歯の深さを数値化するダイアグノデントペン

そうは申しましても、我慢に我慢を重ね痛みで眠れなかったようなむし歯に関してはその限りではありません。『削らない方がいいって聞いた事があるので削らないで下さい!』って仰る方もいらっしゃいますが、痛みが出始めてからは・・・・無理です。(泣)
出来る限り早期に対処するのがむし歯治療の基本でもあります。その点は御理解下さいませ。

DIAGNODENT-PEN

ダイアグノデントペン

むし歯の深度のチェックが可能

当院では、むし歯を数値化する『ダイアグノデントペン』を導入いたしました。
この機器は、安全なレーザー光を使用するため痛みを伴うでなく、歯を傷付けもせずにレーザー光によりむし歯の程度を数値に置き換える事が出来る光学式う蝕検出装置で、まずは疑わしい時に使用いたします。

むし歯の深さを数値化するダイアグノデントペン

「削る」から「経過観察」へ

視診やレントゲン撮影による従来の診断に加え、数値化することで『すぐに削る』のがbetterなのか『フッ素塗布で管理』する治療が良いのか・・・しっかりと判断させていただくことが可能な時代になりました。

むし歯の度合いを数値で管理

機器の先端から出たレーザー光は、見えなかったり測定しにくいとされる溝の部分や隣接面のむし歯部分から約2mmの深さまで到達するんだそうです。仕組みとしましては、そのむし歯に含まれる代謝産物(ポルフィリン)にレーザー光を照射する事で起こる蛍光反射を読み取るんだそうで、そうする事で数値化が可能に。
健康な歯質には低い値が示されますが、むし歯の場合には高い値が示されます。定期的に確認することでむし歯の進行状態を把握し経過観察していくことが可能です。

むし歯の深さを数値化するダイアグノデントペンの仕組み

やさしいレーザー光での測定

これまでむし歯の進行状況を数値で確認するシステムは確立されていませんでした。「ダイアグノデントペン」は歯にそっと沿わせ歯面に655nmの低出力のレーザー光を照射するだけなので、痛みもなく、小さなお子様や妊婦の方にも安心してご使用いただけます。またスタッフが測定してくれた直後に表示された数値を基準に照らし合わせてむし歯の進行状況を詳細にお知らせすることが可能になりました。

むし歯の深さを数値化するダイアグノデントペンの実際の数字

ダイアグノデントペンの診断基準

数値毎に下記の様に判断致します。

0〜15健全歯質
16〜40経過観察とする値(フッ素塗布)
41~60いわゆるグレーゾーン
61以上「MI」を心がけて最小限の治療を行う値

下記のブログにも纏めてみました。

レーザー治療で歯の削り過ぎ防止

一般的なむし歯治療は、削り残しがあると再発リスクが高まるのでやむを得ずに歯を大きく削ります。しかし当たり前ですが歯を長持ちさせるにはなるべく削る量を減らすことが肝心です。当院のむし歯治療は、比較的小さなむし歯であればレーザーを使った「なるべく削らないMI治療」が可能です。

レーザー治療とは、レーザー装置から発生したレーザー光線を使った治療です。たくさんのレーザー装置がありますが、当院で導入しているのは唯一むし歯が削れる「Er:YAGレーザー」と呼ばれる種類です。
レーザーを照射すると水分が蒸発するため、水分を多く含んだむし歯部分を分解(除去)できます。悪い部分だけをピンポイントで削れるので、削り残しや削り過ぎがありません。

Er:YAGレーザー

適応症はごくごく小さなむし歯に限られます。ドリルで削るような音や振動もないので小さなお子さんも怖がらず治療できようかとは思います。ただし通常のタービンと呼ばれる切削器具に比べると異様に切削効率が悪いので、ホントにごく僅かなむし歯に限るのと時間が掛かることだけは御了解下さい。
当院には上記のEr:YAGレーザー以外にも、軟組織に強い半導体レーザーもあります。用途に分けて使い分けを致します。

初期にはフッ素塗布で経過観察

当院は『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』の認定を受けておりますので、むし歯の重症化予防目的の『エナメル質初期う蝕管理』を行っております。
これは、エナメル質に限局した表面が粗造な白濁等の脱灰病変である「CO(ごく初期のむし歯)」の悪化を予防することを目的として、指導であったり十分な説明をし口腔内写真を記録として残した上でフッ化物歯面塗布を行うモノです。
この際に使用するフッ化物溶液のフッ化物濃度は、9,000ppmで市販されているフッ素入り歯磨きの6倍ほどの高濃度ですので効果が高いと考えられます。

薬剤を用いてなるべく神経保存

むし歯が深くなって神経付近に達すると、痛みを取り除いたり、神経を取って(抜髄)根管内(神経の通っている管)への感染を避けます。やむを得ず神経を取るために歯を大きく削らなければならず、その分どうしても歯がもろくなりがちです。
こうした深いむし歯でも、薬剤を使うことで歯を大きく削らずにしかも神経を残せる可能性があります。当院は、歯の状態や症状を見ながら、神経の保存が可能と判断した場合はそういった方法でなるべく削らず神経を残す努力をいたします。

歯髄の保存を心掛ける

執筆・監修歯科医

なるべく削らないMI治療