歯科医師会の生涯研修っていうシステムがあります。会員になったばかりの頃は『集まり』での受講が常識でしたけど、便利な時代になって今は『e-ラーニング』で学ぶ事ができます。
受講することで単位取得が可能になるのですが、その代わりに毎回必ずテストがあってクリアしないと単位はいただけないんですけどね。(汗)
自分でナニかを学ぼうとする際にはどうしても好きな分野に偏りがちになります。
それがこういった生涯研修は、ジャンルが実に多様性に富み、好むと好まざるとに関わらず広く遍く学べるので知識の幅が広がってとても宜しいように思います。
今回のテーマは・・・
① 『歯科口腔領域におけるタバコの影響と禁煙支援をめぐる最近のトピックス』
② 『不正咬合を外科的手法をもって治す ~顎骨を移動することによって生じる生理学的機能の変化~』
でありました。
①の要点
喫煙や受動喫煙は歯科口腔疾患のリスクを高め、禁煙はリスクを低下させる。その因果関係のエビデンスレベルは疫学研究に基づいて判定されている。タバコ煙により口腔の細菌や細菌叢が変化するという最近の知見は、関係を説明する生物学的な根拠となる。
近年、新型タバコの使用への懸念が高まっている。電子タバコの口腔への影響については既に多くの報告がある。加熱式タバコは安全であるという科学的根拠はなく、その使用は禁煙を阻害する可能性がある。
歯科医師会雑誌・2022年4月号Vol.75 No.01 【トピックス】
私は非喫煙者ですので『加熱式タバコ』と『電子タバコ』の違いすら解りませんが、それらに言及してくれていて大変に理解が深まりました。
歯周病リスクの可能性を思う時、少なくとも喫煙をなさる同業の歯科医師は・・・マズいんじゃないかと思わずに居られません。禁煙指導すら出来ませんモンね。(汗)
②の要点
顎矯正手術は不正咬合や咀嚼機能の改善のために行われるが、顎骨の硬組織の変化によって舌・軟口蓋などの軟組織、上気道にも変化が現れる。これまでの研究は形態学的分析が主体で、上気道形態の変化と呼吸生理学的機能の変化は評価されていなかった。そこで我々は顎変形症患者を対象に
①顎顔面骨格形態が上気道形態におよぼす影響
②顎骨移動による上気道形態の変化と鼻腔通気度との関連
③数値流体力学シミュレーション解析を用いた上気道呼吸動態の変化
④気道評価に用いられるカフリークテストを応用した気道抵抗性の生理学的検討を行った。これらの結果は、顎矯正手術を行う際に咬合や顔貌の審美性に配慮するのみならず、呼吸生理学的な機能にも考慮した顎骨移動や移動量の決定に有用であり、その研究成果を報告する。
歯科医師会雑誌・2022年4月号Vol.75 No.01 【クリニカル】
一般の歯科開業医にとっては縁の無い外科手術の話題ではあるのですが、呼吸方法との関連性等、示唆に富む内容で勉強になりました。
来年は卒寿を迎える母が良く申しておりますが、『人間、死ぬまで勉強!』はけだし名言だと思う今日この頃であります。(汗)