歯科のトピックス

咀嚼回数激減が引き起こす口腔機能の退化

私自身も日頃から『噛む』という行為を意識なんかはしておりません。物心ついた時から手足がナンの意識もせずに自由に動かせたのと同様に、咀嚼する際にそれほどの意義を感じながら・・・なんてことはありませんでした。
ただ、噛めなくなったら・・・摂食嚥下に難儀して満足に食物を飲み込めなくなったら生命体としてはマズい事態を引き起こすことだけは想像に難くありません。(汗)

現代人ってのは随分と噛まなくなったって事実を皆さんは御存知でしたでしょうか?
誰が調べたのかは存じませんが、弥生時代には我々は食事の際に4,000回も噛んでいたそうです。
それが鎌倉時代には2,600回、戦前には1,400回と減り続け、現代ではナンと600回なんだとか・・・・激減を続けているようであります。

時間に追われることが多い忙しい現代では、食事の時間までをも惜しみ噛む回数が少なくて済む柔らかい食品が主流となりました。
これ程までに咀嚼回数が減れば顎が小さくなり歯は並びきれず、唾液の分泌量も減りましょうから消化吸収も上手く行かなくなるのは無理もありませんでしょう。

そもそも咀嚼の効果を知らしめるために発足した『日本咀嚼学会』では、次の①~⑧の頭文字から取った『ひ・み・こ・の・は・が・いー・ぜ(卑弥呼の歯がいーぜ)』という標語を編み出しました。

  1. 肥満防止
  2. 味覚の発達
  3. 言葉がハッキリ
  4. 脳の発達
  5. 歯の病気を予防
  6. ガンの予防
  7. 胃腸の健康
  8. 全身元気に

噛むほどに味わい深いのは何方も御存知なはず・・・末永く維持出来るように常に咀嚼を意識すべきかと考えます。

ある番組で、郷ひろみさんが常に心掛けてらっしゃるのは『ひと口で30回噛む』ことだと仰ってました。とてもじゃありませんが60代後半には見えやしない日本を代表するスターの一翼を『咀嚼』が支えているとしたら・・・我々でも簡単に真似が出来そうにも思います。
ちょっとだけでも今までよりも多い回数噛んでみるだけでも宜しいようですよ。心掛けたいモノであります。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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