下記のグラフは喫煙者が非喫煙者と比べて、どのくらいがんにかかりやすいかを示したものです。
リスクはがんに止まらず・・・
疾病のリスクはがんだけではありません。たばこの煙に含まれる化学物質は4,000種類を超えており、そのうち200種類が有害物質だそうです。
心筋梗塞などの循環器系疾患や肺気腫をはじめとする呼吸器系疾患、消化器系の胃・十二指腸潰瘍など、実に様々な病気の誘因になり得ます。我々の分野である歯周病もたばこが悪影響を及ぼすとされています。歯周病はたばこを吸う人に好発します。ニコチンは歯周病を撃退する物質を遮ってしまいます。また、妊婦が喫煙した場合は低体重児・早産・妊娠合併症の比率が高くなります。
厄介な副流煙のリスク
近年、特に問題になっているのが受動喫煙です。喫煙者のたばこの副流煙を、周囲の非喫煙者が吸ってしまうのです。(泣)喫煙者がフィルターを通して吸い込む主流煙よりも、この副流煙のほうがさらに質が悪いとさえ言われています。
たばこの葉が燃えて煙が出る・・・主流煙はたばこの葉とフィルターをくぐって唇に届きますが、副流煙はそのままダイレクトに空中にまき散らされます。考えてみたら有害物質をたっぷり含んでいて当り前なんです。(泣)
酸性の主流煙と異なり副流煙はアルカリ性なので、目や鼻の粘膜も刺激すると言われます。ヘビースモーカーも他人のたばこの煙はいやだと言いますが、気分の問題ではなく、実際にぴりぴりとした刺激があるようなのです。
お子さんなのに歯ぐきまで真っ黒
経験上ではありますが、父親がヘビースモーカーの御家庭のお子さんで鼻呼吸が苦手で口呼吸をしてしまう小学生・・・歯ぐきまで真っ黒でビックリしたことがあります。また、グラフ・トップの喉頭癌は『この世にタバコさえなければ病気そのモノが無かったのでは無いか』と仰った耳鼻咽喉科のドクターのお話を伺ったこともありました。吸った直後の主流煙に触れる歯ぐきは・・・・御想像の通りでありましょうか。
出典:厚生労働省「喫煙と健康-きつえんと健康問題に関する報告書」
執筆・監修歯科医
医療法人SDC 酒井歯科医院
院長 酒井直樹
1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立