歯を支える骨
歯を支える骨・・・って言ったってピンと来ない方も大勢いらっしゃるんじゃないでしょうか? 日々の臨床で治療に当たっていると『歯は歯ぐきに植わってるモノ』と思ってらっしゃる方が非常に多いことに気が付きます。
モチロン、歯ぐきに埋まってることに相違はないのですが、歯ぐきっていうのはあくまでも表面的な存在でしか無く、その直下は全て顎の骨・・・中でも歯を支える部分は歯槽骨と呼ばれており、その骨の中に我々の歯は根をしっかり張っているのです。
この写真を御覧いただければお解りいただけようかと思いますが、その歯槽骨は歯周病により溶けて失われてしまうのです。しかもひとたび喪失してしまえば復元は極めて難しいのです。(泣)
そんな中で、子犬の乳歯からとった歯髄幹細胞を使って親犬の歯を支える骨を新たに形成することに名古屋大の上田実教授(口腔外科学)らのチームが成功したって言うんだから未来の歯科界にとっては大いなる朗報かと思います。
歯槽膿漏(しそうのうろう)や様々な骨の病気の治療に応用が期待
勿論のことながら容易いことではありませんでしょう。それでも名古屋大学のこういった研究は多くの方にとって朗報ではありましょう。
ただし、私が現役の歯科医である間に臨床導入がなされるかどうか・・・・2020年現在でも薬剤は出ては居りますが、かなり限定された病態にしか認められませんし限られたケースでしか成功もしないと言われています。
大袈裟に言うと、私の長男(既に2019年から歯科医)の時代にも臨床応用は『?』だったりするかもしれないのです。(泣)
そういった観点からも治療を考える前に予防をメインに据えて対策を講じていくのがbetterであることが御理解いただけますでしょう。
執筆・監修歯科医
医療法人SDC 酒井歯科医院
院長 酒井直樹
1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立