お子さんの成長には目を瞠るものがあります。幼児期・学童期と口腔内の環境もダイナミックに変化。1本も歯がない状態で生まれた赤ちゃんが、生後7~8ヶ月で下の前歯が生え出し3歳までにはほぼ20本の乳歯が萌出完了。6歳前後に乳歯が脱落し始め、小学校高学年までに20本の乳歯が28本の永久歯に置換するという激変を経験します。実はこの時期がとても大切で、その間の過ごし方がお子様の口腔であり顔貌の『未来を左右する』と言っても過言ではありません。

APPROACH to PEDIATRIC DENTISTRY

小児歯科の取り組み

特に小学校に通う学童期は乳歯から永久歯に生え変わる重要な時期なので定期的な管理が必要ですし、実際には歯さえ萌出していない乳児期からの口腔周囲の健全なる発育・発達が非常に大事とされます。その間に欠かせない口腔筋機能療法を親御さんやご家族の皆さんに御理解いただき、呼吸や咀嚼がスムーズに出来るようなお手伝いをしたいと考えています。

小児歯科01

本来の口腔発達を促す筋機能療法

昨今では保険診療の中にも『口腔機能発達不全症』と言う病名が収載されました。これは口腔周囲の悪いクセ(例えばお口ポカン等)を早期に見出し継続管理することを目的にしており、一歩進めて治そうという発想で取り組む保険適用外の『小児予防矯正』とは異なるモノにはなります。
いずれにしても未病を早期に発見して対策を講じていけるようにお手伝いさせていただきます。

小児歯科02


健やかなる口腔領域の発育の為に

今ひとつピンと来ない話かとは思うのですが、お子さんの歯や口腔領域の予防はナニも『ブラッシング』や『フッ素塗布』には限りません。
昨今では歯並びが悪くなることを予防しましょうという動きが強まって参りました。 次の動画により良き歯並び、口呼吸 ⇨ 鼻呼吸、癖(クセ)の改善、舌の位置、舌の鍛練(!?)、お口ポカンや発音、だらだら食い予防等のお話をまとめてみました。これらの改善は大人になってからでは遅いし難しいのです。(泣)
当院では動画のナレーションも務めてくれるスタッフがこれらの意味・意義を完璧に習得しております。ご相談いただければ予防法として相応しい小児予防矯正プレオルソを含む)のお話などもさせていただくことが可能です。

小児治療における基本方針

お子さんの成長を待ちながら少しずつ

小さなお子さんは歯医者さんで少しでも嫌な思いをすると「歯医者さん嫌い」になってしまいます。当院はお子さんの成長を待ちながらできることからトライするよう心掛けています。なるべく泣かせないよう無理をせず成長を待つスタンスです。大人でも嫌な歯科治療です。簡単ではないですが大事にしたいと考えています 。

基本的に押さえつけません

私が初めて臨床の現場に出た際に指導してくださった先輩歯科医は、押さえ込んでも治療(麻酔を含む)する事が基本方針。その子のことを思えばそれが最良の方法であると私も理解し実践していた過去があります。その後、自分も3人の子に恵まれその成長の日々に接するようになると、どうにも押さえ込むような治療ができなくなってきたのです。自分の子にできない事は人様の大事なお子さんにはなかなかできるものではないと考えるに至りました。

成長を待つことが大切

当院は、お子さんの自主性を尊重し、嫌がるのに無理やり押さえ込んで治療することはほとんどありません。涙が零れちゃう程度は仕方ないと思うのですが、もし余りにも嫌がる場合はお子さんができるようになるまで気長に待ちたいと考えております。

緊急性があればその限りではなく・・・

とは言え、夜も眠れないほど腫れや痛みなど症状が強くて緊急性を有する場合はその限りでなく、どうしてもその日のうちに治療が必要な場合にはやむを得ずご家族と相談した上で押さえ込んで治療をすることもあります。押さえ込んで治療をするとマイナスしか残りません。なるべく酷くなる前にお連れいただけると助かります。お互い良好な関係を構築できればと考えています。

トラウマは後々まで禍根を残します

小学校へ上がるくらいの年齢になれば、嫌がられても麻酔が可能になりますし治療できるようになります。中には小学校高学年になったお子さんでも頑なに口を閉じ治療にならないお子さんがいらっしゃいます。親御さんに伺うと幼児期に押さえ込まれて治療を受けて以降、全く歯科治療ができなくなってしまったとのこと。その状態から治療の必要性をお子さんに理解して口を開いてもらうようになるまで・・・大変なんです。(泣)

まずはフッ素塗布で慣れてもらう

最初はユニットに座る練習から始まり、まずはフッ素塗布等のお薬を塗るだけの簡単処置が理想的ではないかと思います。最初はお口を閉じていたお子さんも怖くない場所なんだと思わせてしまえば、成長に応じて次第に慣れてきて大きくお口を開けてくれるようになりますでしょう。お子さんに最小限のストレスで治療を進められるように考えています。

現在子育て真っ最中のスタッフがいます

スタッフはいつもお子さんの様子を見守ってくれています。子育中のスタッフがおりますので、不安な様子が見えればなるべく気持ちがほぐれるよう優しく声をかけてくれます。また、ユニット前のモニターに各種のアニメ映像が揃っています。スタッフがお子さんのリクエストに合わせてモニターに映してお見せしたりもいたします。

定期検診は最大の予防

むし歯が大きくなれば大人と同じ麻酔をして歯を大きく削らなければならなくなり治療が大変になります。小さければ小さいほど治療は早く終わりお子さんに大きな負担ががかったりしません。大きなむし歯にならないことが一番の最適治療法です。歯磨きや親御さんによる最後の仕上げ磨きを習慣化していただけるようお願いいたします。

毎日の歯磨きだけでなく定期健診も大切です。むし歯の予防はもちろん早期発見・治療にもつながりますし、ナニも無ければ(カリエスフリー)チェックだけで終わり。その都度のフッ素塗布も有効な予防です。親御さんと医療者双方が「頑張ったね!」と褒めてあげることがお子さんの自信を養う事にも繋がります。

歯磨きの習慣ができたとしても、磨き残しがあれば磨いていないのと一緒です。ご家族のサポートは必須。お子さんの歯みがきが終わった時点で入念にチェックし仕上げ磨きをしてあげてください。小学校高学年に向かう10歳前くらいまでは最後の仕上げ磨きまで見てあげることが大事です。

歯並びも予防出来る時代

今どきは歯並びも予防出来る時代になりました。下記のページも御覧下さい。

執筆・監修歯科医、経歴

医療法人SDC 酒井歯科医院 
院長 酒井直樹

1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立