大学の入試の際に『化学』を専攻してましたが、おそらく『二ケイ酸リチウム』なんて一度も耳にしたことは無かったように思います。
それが今ではその素材に触れない日が無いぐらいになって参りました。
透明感に優れたe-max
セラミック素材の歯冠修復物『e-max(イーマックス)』・・・強化型ガラスセラミックスという種類で、天然の歯と見紛うほどに透明感に優れ、従来のセラミック素材よりも耐久性も増して美しく仕上がるようになりました。
ここ数年では更に強度が増したジルコニアセラミックスが審美性にも優れて来て使用頻度が増して来ましたが、歯は硬ければ硬いほど良いか・・・って言うとそうでもありませんで、e-max素材の『軟らか過ぎず、硬過ぎない』適度な強度は口腔内装着の修復物としては秀逸な気がしています。
ジルコニアとの優劣比較
適度と言うのは天然歯の硬さに近似しているという事に他なりません。
加えて作製時の扱いやすさにも優れてますし、万が一外す事になっても硬過ぎないのでナンとかなります。
ジルコニアは歯ぎしりが顕著な方などにはもってこいですが、対合歯(噛み合う相手の歯)を摩耗させてしまうリスクを有し、ひとたび外す必要性(根の処置等)が生じた際には・・・それこそ歯が立たないほどに硬くて難儀しちゃいます。(泣)
もっともその高強度故にジルコニアはブリッジには最適です。金属を一切使わずに審美的に優れた欠損補綴(ほてつ)ブリッジが可能にもなりました。
院内で技工が完結
今どきは、削った歯を写真中央のセレックという機械でスキャンし、院内のまた別の機械とLANケーブルで接続して画面デザインの通りにセラミックの歯の形を作ってくれる時代になりました。それを最後に写真両サイドの機械(炉)で焼成と言って800℃以上の高温で焼くことで見事に透明感に優れたセラミック修復物e-maxの出来上がりとなります。
従来のセラミックは、この焼成という過程が無いので『1day-treatment(ワンデートリートメント):90分前後』が容易ですが、e-maxには焼成過程の分として25分、事前準備と自然冷却時間も考えると『1day』が現実的ではなくなることが欠点かもしれません。
技工操作が簡単に
その炉中の25分間も、ただ高温にすれば良い・・・ってモノでもないらしく、炊飯と同じで『始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くともふた取るな』的な全自動プログラムで完全制御されてるので、歯科医はただ待ってるだけで済むんです。
技工士さんの手を煩わせることもなく歯科医が自院で簡単にセラミック修復物を作れるようになるなんて・・・・十数年前までは考えたことも無かったことが我々の日常臨床の現実になって参りました。