抗血栓療法(抗血小板薬・抗凝固薬)の方が増えている
超高齢化社会の到来は何もマズいモノではありませんが、日常の歯科臨床上、抜歯後に止血困難なお薬(ワルファリンやバイアスピリン等)を服用なさってる方が増加してるのはいささか厄介だったりも致します。
予防的に抗血栓療法(抗血小板薬・抗凝固薬)を受けてらっしゃる方は問診させていただいても随分と多くなっていて、歯科医療の現場では日常的に遭遇したりも致します。
服用はストップしないのが主流
かつては休薬と言って一時的にお薬の服用をストップしていただいて抜歯に臨んでいたのですが、現在ではそのまま飲み続けながら・・・ってことに変化してることを御存知でしたでしょうか?
歯科医師としては抜歯等の観血処置時には出来ればそういった抗血栓薬を休薬して貰いたかったりはするのですが、処方なさってるお医者さんからすれば意味があって抗血栓療法薬をチョイスなさってるわけですから、うっかり中断することによって血栓症を惹起する可能性があるため休薬は回避したかろう・・・そうお考えになると思うのです。
実際問題として市内でも歯科医師が勝手に休薬させていた期間に血栓が詰まって大変な事態になったこともあったと耳にした事があります。(汗)
お医者さんと歯科医師
双方のあれこれのやり取りを経た上で、2008年に日本有病者歯科医療学会が中心となり、日本口腔外科学会、日本老年歯科医学会の3学会で抗血栓療法患者における比較的に容易に抜ける普通抜歯に対するガイドラインが議論されて、2年後に『科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン 2010 年版』ってやつが纏め上げられました。
それに基づくと、比較的ダメージが少なくて済む低侵襲な外科処置である普通抜歯の際には、圧迫止血が確実に出来るのなら抜歯後の止血困難や数時間経ってからの後出血の危険性は少なく、万が一止まらなかった(後出血)としても圧迫止血にて対処可能である・・・と判断されたようです。
抗血栓薬の服用下の抜歯を推奨
難易度の高い親知らずの抜歯などは別にして、基本的に抗血栓薬を継続下に抜歯を行うこと、更に確実な局所止血処置を行うことが今どきは推奨されるようになっています。
ってことは、お薬は止めずに抜歯がbetter・・・なのですが、御自身の判断で1週間前から服用を止めてしまう患者さんが少なからずいらして、逆に困っちゃったりも致します。(汗)
成人の日に絡む連休中にそんなことを再確認したりする勉強をしてみました。