誰でも避けたい認知症
人間の尊厳を考えた時に、認知症という事態は避けたいものです。
ところで皆さんは、認知症が「咬合」に深く関わっている事実をご存知でしょうか。
年齢や生活習慣等に関わらず、歯がほとんどなくなっているのにも関わらず義歯(入れ歯)を使用していない人や常日頃から『かかりつけ歯科医』への受診習慣がない方は認知症発症のリスクが高くなることが知られるようになりました。
それ故に厚労省は『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』なる制度まで導入して対策を講じるようになったんだと認識して居ます。
歯がないと1.9倍認知症になりやすい
歯がほとんどなくなっているのに義歯(入れ歯)を使用していない人は、20本以上歯が残っている人の1.9倍も認知症発症のリスクが高いそうです。
加えて歯がほとんどなくても、義歯(入れ歯)を入れることにより認知症の発症リスクを4割抑制できるとも言われています。
歯科医は肌で感じて知っています
認知症の方は、歯の状態も良くないことが知られています。認知症になれば歯の手入れが疎かになるでしょうし、逆に多くの歯が残っている方は80代になっても「かくしゃく」としているイメージが歯科医にはあります。
咬合不良はトラブルが多く、歯を喪失することや歯周病により「糖尿病」や「心疾患」など全身の健康状態に影響が現れることが明らかになっています。
脳の認知機能の低下を招く
歯を失った後に義歯を使用しないと認知症発症リスクが高まると言われています。
義歯(入れ歯)を使用せず噛めなくなることで、栄養が偏ったり咀嚼機能の低下が起これば脳の認知機能の低下を招いている可能性が示唆されています。
その反面、仮にほとんどの歯がなくても義歯を入れることで認知症の発症リスクを抑制できる可能性も明らかになっています。やはり生まれ持った天然の歯であり咀嚼機能は大事にしないとなりませんね。
咬合の回復の必要性
認知症発症リスクが1.9倍であることを考えると、不快感を伴うことが多いかもしれませんが、喪失したら義歯(入れ歯)かインプラントにより咬合の回復は必須ではないでしょうか。
執筆・監修歯科医
医療法人SDC 酒井歯科医院
院長 酒井直樹
1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立