院長のコラム

自分で気付きにくい歯ぎしり

『歯ぎしり』が歯を壊す?

多くの皆さんの口腔内には、「歯ぎしり」や「食いしばり」の痕跡が明瞭に残っています。それらが習慣的に疑われる場合には、歯の表面が欠けていたり、年齢の割に歯の磨り減りや摩耗が顕著だったり、頬内面や舌の両側面部にギザギザの歯形が残っていたりすることがあります。 それらを確認した後に、『歯ぎしりを意識したことありませんか?』と伺うとほとんどの方が『したことがない』『今まで言われたことはない』という返答だったりして御本人に意識がない場合が多いのです。

ブラキシズムをご存知ですか?

歯にとって厄介とされる歯ぎしり(ブラキシズム)は、次のふたつです。

グラインディング

上下の歯を擦り合わせる歯ぎしりです。下の顎が左右にギリギリと動く状態を繰り返します。この音は起きていて意識があるときに出そうと思っても再現するのは難しく、無意識に意識下の数倍(3~4倍)の力で噛んでいるようです。

クレンチング

上下の歯をひたすら強く噛み締めるタイプです。「食いしばり」や「噛み締め」などと呼ばれています。睡眠中に上下の歯に相当な力を入れてぎゅっと強く噛み締めた状態でなさっていて、この場合には音はほとんどしません。御自身の体重ほどの力で噛んでいるようです。

歯ぎしりの症状とその対策

私自身も生まれてこの方一度も歯ぎしりをしたという実感はありませんが、寝返りと一緒で歯ぎしりをしない人は居ないとまで言われています。寝相の良い方もいれば、頭と足が反転するような方もいますから、歯ぎしりも程度は千差万別なようです。 最大の特徴を挙げるとすれば、以下のようなものになりますでしょうか。

・起床時に顎がだるく感じる

起床時に、顎がだるかったり頬の筋肉がこわばったりしている・・・そういったケースは習慣性のブラキシズムを疑います。睡眠中に強く食いしばっていることが想像されます。もちろん一時的なことであれば問題はありません。しかし、長期に習慣性の食いしばりが続く場合は、困ったことに歯が壊れてしまうのです。(泣)
症状としては、「歯がしみる」、「歯の動揺が進んで噛めなくなった」、「首が痛くなってきた」、「肩が凝る」、「顎がだるい」、「腰が痛い」など、口の中だけでなく全身の様々な部位に症状が出てくるようです。

一番の対策方法であり治療法は、御自身が過度のブラキシズムを行っていることをまずは認識し、不必要な上下の歯の接触を避けることです。なるべく心身共にストレスを溜め込まないことが有効だと思われます。また、日中できる限り歯を接触させてしまう癖(TCH)を意識してやめることがポイントになるようです。

もっとも、止めようと思って止められれば苦労はないですが、睡眠下の無意識の動きはコントロールできません。歯ぎしり防止のマウスピース(ナイトガード)を作製してガードすることも有効な手段と考えられます。健康保険でも作製可能ですのでご相談ください。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長/院長

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