やってるんです、歯科の訪問診療
一昨日の休診日には、約2週間前にご連絡いただいていた依頼に応じ『訪問診療』に出掛けて参りました。
訪問診療が認められるのは確か自院を中心とした半径16km以内と記憶していますが、今回の訪問は片道10kmチョイ・・・それなりに遠方への往診は久し振りではありました。
認知症の方への対応
お待ちの患者さんは、事前情報通り御高齢で認知症が進んでらっしゃる方でした。
ご家族の方や私がお声掛けをしても頑なに口唇を閉じてしまい、やむなく半ば無理矢理に口を開かせて口腔内を確認するのがやっとでして・・・歯周病がかなり進行していることは確認できましたが、実際問題として腫れたところからの排膿や持参した歯ブラシで口腔内を清掃させていただくぐらいの対処しか出来ませんでした。(泣)
私たちはブラッシングをして出血や排膿があっても驚きませんし、慣れていますのでそう簡単には指先を噛まれたりすることもありませんが、出血や咬傷のリスクを考えると、ご家族や介護担当者の方々にとっては負担が大きいのかもしれませんね。
改めて御家庭での口腔ケアの難しさを再確認しつつ、満足な治療までは至れずに退散して参りました。
歯の存在がネックになる?
私たち歯科医師は、できる限り「歯の保存」に努めるのが使命であろうと心得ています。日々の診療ではそれに疑問を抱くことはありませんが、上記の訪問診療時のように多くの歯(半分の14本以上)が残っていらして御本人もご家族も口腔ケアが出来なくなってる高齢の方々の場合には、疑問を抱かざるを得ませんでした。
誤解を恐れずに言うと、その認知症の方も歯がなければ口腔内の厄介なトラブル(腫脹を伴う膿瘍形成など)に悩まされなかったのかもしれません。義歯(入れ歯)が良いとは断じて言えませんが、心身共に健康な方は別にして、認知症の方の場合には残っている歯が多ければ多いほどご家族の負担が増えるようにも感じました。(泣)
ニーズが増す口腔ケア
国全体で、健康寿命の延長が喫緊の課題とされています。高齢の方に対する誤嚥性肺炎予防や食事に関わる摂食嚥下や口腔ケアのニーズはますます高まるばかりでしょう。
口腔ケアはきちんと行われるべきだと考えますが、健常者にとっては当たり前のブラッシング(口腔ケア)も、認知機能に異常がある方の場合にはかなりの困難さが伴うことを再認識しました。
「ナニが正解なんだろう?」と自問しても、明確な答えが出せないジレンマを感じながら帰路につきました。
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